「福祉職が独立して活動できるような働き方を創りたい」という野望を語ります。
あなたが福祉の相談をしたくなったら、どこに行きますか。役所の窓口でしょうか、ご存知でしたら地域包括支援センターの相談員でしょうか。(まずはお住まいの行政窓口に行くことをお勧めします。必要な情報収集ができるはずです。)
こういったとき開業型の福祉職が、もっと街中にいればお役に立てるのに。組織に所属しないで活動する福祉専門職が増えたらいいと思っています。街中で会計事務所を見かけるようにソーシャルワーカーが個人事務所を構えていて、来談者の必要なお手伝いをするイメージです。もしくは単独ではなく、弁護士事務所や会計事務所のなかに席を設けてもらうのも活動しやすいでしょう。
「必要とする人(利用者)」と所属組織との板挟みが悩みの種だと前回書きました。私は所属をもつことを否定したい訳ではありません。会社に就職したから出来る仕事があるように、所属をもつことはパワフルで実際に便利です。ここで言いたいのは、ソーシャルワーカー個人の強みを活かす働き方があるということです。
ワーカーの働き方に触れる前に、現状のお話をさせてください。
社会福祉は「対象別」に法制度をつくって発展してきました。子ども、生活困窮、障害種別、高齢などのように。要は「福祉を必要とする」グループの属性が想定されていて、サービス利用には「基準」があるのです。
誰でも、自分が必要としていて「私」に合った援助を期待します。仮に自分がグループ属性と少し違っていたとしても、援助対象(サービス)から外される理由はないと思うのが自然な感覚でしょう。でも制度の基準がある。そこでソーシャルワーカーは「その人にとって」を本人と一緒に考えます。出発点は「必要とする人」の側に立つことで、そこから必要な援助を組み立てていきます。
所属組織をもつ福祉職であれば「基準」を柔軟に運用して(組織とのバランスをとって)サービス提供できます。開業型であれば「人」の側から摸索し、「必要」にこだわる形で援助を試み続けるかもしれません。どちらの側も求められていますが、後者の役割を担っている人が圧倒的に少ないのです。
開業しても悩みはなくなりません。後者の立場に立つといっそうジレンマを抱えるかも…、でも魅力的な選択肢ではありませんか?とお勧めしたいのです。一般的には「福祉施設・機関」に就職するものと思われているでしょうから、「人」に添った形でも福祉職が浸透することを願って書きました。