前回は自分の軸を見つけるお話でした。
今回は軸を見つけることが、援助の仕事にどのように活かせるかを考えます。
私は自分の軸に気づいたことで、2つの違いを意識するようになりました。
との違いです。
現場で同じ時間を共有していると、同僚が何を感じているか気づくことがあります。
たとえば、子どもにすぐ注意をするのか、少し待つのかによって、同僚の考え方を想像したり議論することもあります。
「待つ」理由も人それぞれで正解はありませんから、援助者の議論とは、お互いの軸を確かめたり、両者の距離を知ることが主な内容になると思います。
また、その人が大切にしようとしたことは、記録からも読み取れます。
「○君が動物好きだから、仲良くしてほしかったのだな」のように。
私がやりがいを感じるのは、自分が考えもしなかった軸を知ったときです。
そういう視点もあるのか、なるほど、今度は自分もこうしてみようと、子どもへのアプローチが膨らみます。
援助者の軸が各々異なるから、チームで関わる強みがある。よく言われる「違うから良い」を実感できる瞬間です。
自分が「子ども一人ひとりと丁寧に向き合いたい」と思っている時、事業所は「事業費(収支)に見合う人員配置」を求めたとします。
ここで私は「丁寧に」「向き合う」といった抽象的な考え方を、何人の援助者が何をするのかという目にみえる形に落とさなければいけません。
立場によっては、実現可能な想定と、なぜ必要なのかという考え方を事業所内に伝える必要があるでしょう。
簡単に行かない場合もあります。
振り返ってみると、自分の軸を意識することが私の原動力になりました。
でも、こういったことがすべて順調に進んだ訳ではありません。
ただ、大切にしたい軸があるから、どうすればいいのだろうと迷ったり、可能にする方法を考えることに結びつくのだと思います。
同僚と話し合い、事業所の理解を得ることは、援助者としてやりがいを感じます。
その先には、地域のなかで「子どもにとっての当たり前」の実現が待っているのですから。