ソーシャルワーカー事務所 長楽庵は、精神保健福祉士・社会福祉士の国家資格をもつ独立型個人事務所です

(一社)東京精神保健福祉士協会 主催「今、私たちができる"権利擁護"とは ~旧優生保護法への国家賠償を通し権利の尊重を考える~」に参加して

 平成30年度の普及啓発セミナーは、司法と権利擁護の両委員会によるコラボ企画でした。テーマは「今、私ができる“権利擁護”とは」。

私たち一人ひとりがこの日の問いかけを持ち帰り、明日からの実践に活かしたくなる内容でした。

プログラム後半の意見交換で、私も司会として加えて頂き大変勉強させてもらいました。セミナー実施に尽力された皆さまに、感謝致します。

 

現在、旧優生保護法下で実施された強制不妊手術について、国家賠償訴訟が行われています。

全国で先行する仙台の裁判では、セミナーの前日(3月20日)に結審を迎えました。

登壇いただいた、関哉直人弁護士(東京優生保護訴訟、弁護団長)、北三郎氏(優生手術被害者・家族の会共同代表)も応援に行ったそうです。

また3月14日には、超党派の議員連盟と与党ワーキングチームによって「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案」が公表される等、謝罪と補償に向けた動きが活発化する時期の開催となりました。

 

関哉弁護士の講義では、はじめに歴史的変遷、とくに国が優生思想を流布してきた実態、強制不妊手術による被害者数についてお話がありました。

次に全国の裁判について、原告の方々がどのような被害にあってきたかを伺いました。

北三郎氏は「我々は(法律案にある反省とおわびの主語)」とは誰のことを言っているのかと、国が明確に責任を認めないことを批判され、理解と協力を呼びかけていらっしゃいました。

これまで体験されてきたこと、我々への力強いメッセージをいただき、胸がいっぱいになりました。

後半は、日本社会事業大学大学院の古屋龍太先生に加わって頂き、意見交換を行いました。

古屋先生からは「それほど遠くない過去に、精神科病棟であったこと」を伺い、関連して精神医療国家賠償請求訴訟のお話がありました。

私たち専門職団体として、それぞれの立場で我々は何をしてきたのか? 今、同じような状況はないか?との問題提起を受けて、次の話題が挙がりました。

ハンセン病訴訟、精神科医療の現状、成年被後見人の選挙権回復、新型出生前診断、等々、フロアからのご意見をもとに「いま見えていない権利侵害、私たちが見ようとしていない現状の課題に気づくには」といったテーマを共有できたように感じました。

最後に、北三郎氏は「応援をよろしくお願いします!」と呼びかけられ、関哉弁護士は「あなたが行動を起こさなければ、誰も権利擁護のために動かない」と会場に伝えました。

 

現在「優生保護法被害弁護団」のサイトには、「相談窓口一覧」の情報が掲載されています。

まだ声をあげられていない当事者の方に届くよう、ぜひ一度ご覧ください。
日程が合うようでしたら、公判と集会へのご参加をご検討くださると有難いです。

お忙しいなかご登壇いただいた北三郎氏、関哉直人弁護士、古谷龍太教授に、心より感謝申し上げます。

(この記事は、東京精神保健福祉士協会発行のニュースレターに書いた原稿を編集したものです。)

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