ソーシャルワーカー事務所 長楽庵は、精神保健福祉士・社会福祉士の国家資格をもつ独立型個人事務所です

福祉サービス利用の「ルール」は何のためにあるのか-サービスにつながりにくい人の「必要」と「公平」

すべての子どもと家族が、「公平な環境」で暮らしている訳ではありません。

いまは「公平とは何か」が日常で話題にならないほど、多様化した生活があります。

そこで改めて、援助を必要とする人のことを考えたいと思います。

あなたの勤める事業所には、どんな福祉サービス利用のルールがありますか。

サービス利用のルールは、もっとも援助を必要とする人たちの「必要」に応えるためにあると私は思います。

ある家族からは、ほとんど利用の申し込みがありませんでした。

仮に、ひとり親で助けてくれる親族も近くにいない状況だとしましょう。

厳しい生活で、子どもも家族も余裕がないように見えたので、事業所から定期的に連絡をしていました。

近況を伺って、場合によってはサービス利用を提案していました。

宿泊や日中の時間帯など、特に不定期なサービスは、利用者が事業所に申し込むことを前提にしています。

公平になるように、1ヶ月前から同時に申し込みを受け付けたり、利用の多い夏休み期間中には抽選を取り入れているところもあるでしょう。

ここでいう「公平」とは、同じルールで、サービスの利用枠がいっぱいになるまで受けつけるという意味です。

でもこの子どもと家族にとっての「公平」は、利用を優先することだと思いました。

あくまで一般論ですが、厳しい環境に置かれるほど「困っている」という声は小さくなり、サービスとつながりにくくなる傾向があります。

「公平なルール」のもとでは、声の小さい人たちは取り残されてしまいがちです。

私は社会福祉法人の運営する事業所にいたこともあって、社会的な責任を意識する機会に恵まれました。

ただ何を優先するかを考えたとき、いろんな迷い、戸惑いが出てきます。

次回に続きます。